イタリアへの旅行を計画している方にとって、治安は気になるテーマの一つではないでしょうか。
特に「イタリアは治安が悪い」というイメージを持って検索する人も少なくありません。
しかし、実際の治安状況はどうなのでしょうか。
本記事では、最新のデータや現地の声をもとに、イタリアの治安が悪いと言われる理由、都市ごとの治安ランキング、観光客が注意すべきポイントなどを詳しく解説します。
また、治安に関する話題では避けて通れないマフィアの現状についても触れ、安心して旅を楽しむための情報をお届けします。
イタリア旅行を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
- イタリア全体の治安傾向と主要都市ごとの安全度の違い
- イタリアの治安が悪いと言われる背景やその理由の実態
- スリや置き引き、マフィアの存在が観光客に与える影響
- 旅行中にトラブルを避けるための防犯対策や注意点
イタリアの治安の最新概況

- イタリアの治安は総じて良好
- 他ヨーロッパ諸国との比較
- 治安が悪いと言われる理由は?
- 主要都市別の治安ランキング
- マフィアの現状と観光客への影響
イタリアの治安は総じて良好

イタリアは一般的に治安が良好な国として位置づけられています。
2024年の「世界平和度指数(Global Peace Index)」によると、イタリアは163カ国中33位に位置しており、特に戦争や大規模な暴動が少ない安定した国であることが示されています。
多くの方が「イタリアは治安が悪い」というイメージを持っているかもしれませんが、実際には警察のパトロールが強化されたこともあり、治安は改善傾向にあります。
さらに、日本の外務省が発表している海外安全情報でも、2025年4月現在、イタリアに対する危険情報は出ていません。
ただし、これは「何も心配することがない」という意味ではありません。
イタリアの治安状況は地域によって異なります。
北部と南部では経済格差があるものの、治安面での大きな差はないというのが最新の見解です。
むしろ現在は、観光客が多い北部の大都市での軽犯罪が多発する傾向にあります。
イタリアを訪れる際に最も注意すべきなのは、スリや置き引きといった軽犯罪です。
特に観光スポットや駅周辺、公共交通機関内では常に貴重品の管理に気を配ることが重要です。
夜間の外出については、特に深夜11時以降は男女問わず注意が必要とされています。
地域別に見ると、治安の良い地域として北イタリアのアルト・アディジェ地方のボルツァーノ、トレンティーノ州、トスカーナ州、プーリア州のレッチェやバーリなどが知られています。
観光地としては運河の街ヴェネツィアも、スリには注意が必要ですが全体的に治安が良いとされています。
対照的に、注意すべき地域としては、ローマのエスクィリーノ地区やエウル地区、ナポリ中央駅周辺のガリバルディ広場やフォルチェッラ地区などが挙げられます。
こうした地域では特に夕方以降は人通りが少なくなるため、できるだけ明るい時間帯に訪れるのが賢明です。
イタリアへの渡航を検討している方は、マフィアについても心配されるかもしれません。
確かに南部地域にはマフィアが存在していますが、観光客が標的にされることはほとんどありません。
一般的な観光ルートから外れなければ、マフィアとの接触を心配する必要はないでしょう。
テロについても、イタリアではテロの可能性は低いと考えられています。
治安当局による警備強化も行われているため、テロに関する過度の心配は不要と言えるでしょう。
以上のことから、イタリアの治安は総じて良好であり、基本的な注意を払えば安全に旅行を楽しむことができます。
日本ほどの治安の良さは期待できませんが、世界的に見れば比較的安定した国であることは間違いありません。
旅行の際には貴重品の管理や夜間の行動に注意を払い、常識的な行動を心がけることが大切です。
他ヨーロッパ諸国との比較

イタリアの治安状況を理解するには、他のヨーロッパ諸国との比較が役立ちます。
世界平和度指数(Global Peace Index)の2024年データによると、イタリアは世界163カ国中33位にランクされています。
この順位は決して悪くはありませんが、ヨーロッパ諸国の中では中程度の位置づけとなっています。
具体的には、ヨーロッパ域内では18位に位置しており、アイスランド(世界1位)、アイルランド(2位)、オーストリア(3位)などの北欧・中欧諸国と比べると、やや治安面での課題があることがわかります。
以下の表は、主要ヨーロッパ諸国の平和度指数を比較したものです。
主要ヨーロッパ諸国の2024年世界平和度指数比較
国名 | 世界ランキング | スコア |
---|---|---|
アイスランド | 1位 | 1.112 |
アイルランド | 2位 | 1.266 |
オーストリア | 3位 | 1.315 |
ドイツ | 20位 | 1.541 |
スペイン | 25位 | 1.603 |
イタリア | 33位 | 1.737 |
イギリス | 36位 | 1.747 |
フランス | 60位 | 1.895 |
世界平均 | – | 1.506 |
ヨーロッパ平均 | – | 1.522 |
上記の表からわかるように、イタリアの平和度指数スコアは1.737となっており、これは世界平均の1.506よりも高く(数値が低いほど平和度が高い)、ヨーロッパ平均の1.522と比較しても若干高い数値です。
つまり、イタリアの治安はヨーロッパ諸国の平均よりもやや劣るという結果になっています。
ただし、これは相対的な比較であることに注意が必要です。
イタリアでも凶悪犯罪の発生率は低く、観光客が巻き込まれるのは主にスリや置き引きなどの軽犯罪です。
北ヨーロッパ諸国と比較すると数値上は劣りますが、世界的に見れば依然として安全な国の一つと言えるでしょう。
日本との比較では大きな差があります。
日本は2024年の世界平和度指数で17位にランクされており、特に「社会の安全・治安」の面では非常に高い評価を得ています。
以前の調査では「社会の安全・治安」カテゴリーで日本はフィンランドに次いで2位という高評価でした。
イタリア国内の地域差も興味深いポイントです。
かつては南北の経済格差から南部の治安が悪いというイメージがありましたが、現在では必ずしもそうとは言えません。
むしろ北部の大都市ミラノなどは観光客が多いため軽犯罪が多発し、イタリア国内でも犯罪率が高い地域の一つとなっています。

イタリア政府は治安対策に力を入れており、特に観光地では警察のパトロールが強化されています。
その結果、観光客が安心して訪れることができる環境づくりが進んでいます。
ローマやフィレンツェなどの主要観光都市では、観光警察が配置され、外国人観光客のサポートに特化したサービスも提供されています。
他のヨーロッパ諸国同様、イタリアでも新型コロナウイルスの影響で一時的に犯罪率が減少しましたが、観光客の戻りとともに軽犯罪は増加傾向にあります。
この点はフランスやスペインなど他の南ヨーロッパ諸国と同様の傾向が見られます。
治安という観点からイタリアと他のヨーロッパ諸国を比較する場合、注目すべき特徴として、マフィアの存在が挙げられます。
イタリア南部を中心に組織犯罪グループが存在していますが、これらは主に地下経済や地域社会に根ざした活動を行っており、観光客が直接の標的になることはほとんどありません。
この点は、東ヨーロッパの一部諸国における組織犯罪とは性質が異なります。
都市部での犯罪パターンを見ると、イタリアの主要都市はパリやバルセロナのような他のヨーロッパの観光都市と似た傾向を示しています。
観光客が集中するエリアでスリや置き引きが多発する一方、凶悪犯罪の発生率は低いという特徴があります。
総じて言えば、イタリアの治安は北欧諸国と比べるとやや劣るものの、ヨーロッパの主要観光国としては標準的なレベルにあります。
適切な注意を払えば、他のヨーロッパ諸国と同様に安全に旅行を楽しむことができる国だといえるでしょう。
治安が悪いと言われる理由は?

イタリアは「治安が悪い」というイメージを持たれがちですが、実際にはそのイメージが生まれた具体的な背景があります。
世界平和度指数(2024年版)によれば、イタリアは世界163カ国中33位にランクされており、決して最悪の治安状況ではありません。
しかし、他の先進国と比較すると、確かにいくつかの課題が存在します。
まず第一に、イタリアでは軽犯罪、特にスリや置き引きの発生率が高いことが挙げられます。
これは特に観光客が集中するローマのコロッセオ周辺やトレビの泉付近、ミラノのドゥオーモ周辺、ヴェネツィアのリアルト橋など、人気観光スポットで顕著です。
人が密集する場所では犯罪者にとって絶好の環境となり、注意力が散漫になりがちな旅行者が標的にされやすいのです。
第二に、マフィアの存在が「治安の悪さ」というイメージに繋がっています。
実際、イタリア南部にはマフィアが存在していますが、観光客が直接マフィアの犯罪に巻き込まれるケースはほとんどなく、一般的な旅行者の安全に直接影響することは稀です。
しかし、メディアなどを通じてこうした組織犯罪の存在が国際的に知られていることが、イタリアの治安イメージに影響を与えている側面は否めません。
第三に、地域間格差の問題があります。
従来は「北部は裕福で安全、南部は貧困で危険」というイメージがありましたが、最新の統計ではむしろ逆の傾向も見られます。
現在は北部の都市ほど観光客が多く、それに比例して軽犯罪も増加している状況です。
例えば、ミラノはイタリア国内でも犯罪率が高い都市の一つとされています。
ただし、南部でも犯罪が少ないというわけではなく、地域によって治安状況は異なります。
また、イタリアの駅周辺は特に注意が必要なエリアとして知られています。
例えば、ローマのテルミニ駅周辺、ナポリ中央駅前のガリバルディ広場、ヴェネツィア・メストレ駅などは、特に夜間や早朝の時間帯に人通りが少なくなると危険度が上がる傾向にあります。
これらの場所では不審者や麻薬の売人が出没することがあり、観光客の警戒心を高める一因となっています。
さらに、他の先進国と比較した場合の制度的な課題も挙げられます。
警察の対応速度や効率が必ずしも高くないケースがあり、軽犯罪の検挙率も他のヨーロッパ諸国より低い傾向にあります。
これにより、犯罪抑止力が弱まり、スリなどの軽犯罪が繰り返される環境が生まれやすくなっています。
しかし、こうした問題点は存在するものの、イタリアで発生する犯罪の大部分は非暴力的な財産犯であり、観光客が凶悪犯罪に巻き込まれるリスクは非常に低いと言えます。
実際、暴力的な犯罪率は日本と比べれば高いものの、米国などと比較すると低く、世界的に見れば中程度の安全水準を維持しています。
イタリアを訪れる際は、こうした実態を理解した上で、スリや置き引きへの基本的な対策を講じれば、安全に旅行を楽しむことができます。
具体的には、貴重品の管理に気を配り、人混みでは特に注意を払い、夜間の人気のない場所への立ち入りを避けるといった基本的な対策が有効です。
イタリアの治安イメージは一部センセーショナルに伝えられる側面もありますが、適切な注意を払えば、魅力的な観光体験を安全に楽しむことは十分可能な国です。
主要都市別の治安ランキング

イタリアを旅行する際、どの都市が比較的安全で、どの都市により注意が必要なのか知っておくことは重要です。
各都市によって治安状況は異なりますので、訪問先に応じた対策を講じることが安全な旅行のカギとなります。
以下、イタリアの主要都市の治安状況を最新情報に基づいてランキング形式で紹介します。
イタリア主要観光都市の治安比較ランキング
順位 | 都市名 | 治安評価 | 特徴・注意点 |
---|---|---|---|
1 | ボルツァーノ | 良好 | 北イタリアのアルト・アディジェ地方に位置し、犯罪率が低く生活水準が高い地域。 |
2 | ヴェネツィア | 良好 | 車両の侵入が制限されており交通事故の心配が少ない。ただし観光客の多いエリアではスリに注意。 |
3 | フィレンツェ | 比較的良好 | 昼間は安全だが、駅の北東側など一部エリアでは注意が必要。 |
4 | ローマ | 要注意 | コロッセオやトレビの泉周辺、テルミニ駅周辺ではスリが多発。 |
5 | ミラノ | 要注意 | 中央駅周辺やドゥオーモ周辺でスリや置き引きに警戒が必要。 |
6 | ナポリ | 最も注意 | 中央駅周辺や一部観光地では軽犯罪が多発しており警戒が必須。 |
上記のランキングは、スリや置き引きなどの軽犯罪の発生率、警察のパトロール状況、現地在住者の評価などを総合して作成しています。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、実際の体験には個人差があることをご理解ください。
ボルツァーノは、アルプスの麓にある北イタリアの都市で、住民の生活水準が高く、犯罪率も低いため「イタリアで最も安全な都市」の一つとして評価されています。
自然豊かな環境でトレッキングや冬のスポーツを楽しむ観光客に人気があります。
ヴェネツィアは、運河の街として有名で全体的に治安が良好です。
車両の侵入が制限されているため交通事故の心配が少なく、昼夜問わず比較的安全に観光を楽しめます。
ただし、観光客が集中するサンマルコ広場やリアルト橋周辺ではスリの被害が報告されているため、カバンや貴重品には注意が必要です。
フィレンツェも治安の良い都市として知られていますが、地域によって差があります。
特にサンタ・マリア・ノヴェッラ駅の北東側のリベルタ広場周辺ではスリやひったくりの被害が報告されています。
一方、カンポ・ディ・マルテ駅周辺の住宅街は比較的治安が安定しており、安心して滞在できます。
ローマは観光スポットが多く、全体としての治安は中程度ですが、一部エリアでは注意が必要です。
特にテルミニ駅周辺は移民も多く治安が不安定です。
また、コロッセオやトレビの泉などの人気観光地ではスリが多発しており、人混みでは持ち物に細心の注意を払うことが重要です。

地下鉄内でのスリ被害も多く報告されています。
ミラノはファッションと経済の中心地として知られていますが、犯罪率はイタリア国内でも比較的高いとされています。
特に中央駅周辺やドゥオーモ周辺では、観光客を狙ったスリや置き引きが発生しています。
昼間は比較的安全ですが、夜間の一人歩きは避けた方が無難です。
ナポリは、南イタリアの代表的な都市で、美味しい食事や歴史的な観光スポットが魅力ですが、治安面では最も注意が必要とされる都市の一つです。
特に中央駅前のガリバルディ広場やフォルチェッラ地区は治安が良くなく、スリやひったくりなどの軽犯罪が多発しています。
王道の観光ルートでは比較的安全ですが、それでも常に周囲に注意を払うことが大切です。
イタリアを訪れる際の安全対策としては、以下の点が重要です:
- 貴重品の管理: 前掛けポーチや内ポケットを活用し、バッグは必ずファスナーを閉めて体の前で持ちましょう。
- 混雑場所での警戒: 観光地や公共交通機関では特に警戒を強め、周囲の不審な人物に注意しましょう。
- 夜間の行動: 夜11時以降の外出は避け、特に人通りの少ない場所への立ち入りは控えましょう。
- 緊急時の連絡先: イタリアの警察は「112番」または「113番」、救急車は「118番」です。
イタリア政府は観光都市の安全確保に力を入れており、ローマやミラノ、フィレンツェなどの主要観光地では警察のパトロールが頻繁に行われています。
そのため、基本的な防犯対策を講じれば、イタリアの魅力的な都市を安全に楽しむことができるでしょう。
最後に、イタリアでは地域によって治安状況が異なりますが、多くの犯罪は観光客を狙った軽犯罪であり、暴力的な犯罪に巻き込まれる可能性は低いことを覚えておくと安心です。
イタリアの豊かな文化や歴史、美食を楽しむための旅行が、この情報によって少しでも安全で快適なものになれば幸いです。
マフィアの現状と観光客への影響

イタリアといえば多くの人がマフィアを連想しますが、現在のマフィア組織はどのような活動をしており、観光客にとってどのような影響があるのでしょうか。
イタリアには主に4つの主要マフィア組織が存在しており、それぞれが異なる地域を拠点としています。
イタリアの主要マフィア組織
イタリアには以下の4つの主要マフィア組織があります:
- コーザ・ノストラ:シチリア島を拠点とする組織。かつては最大勢力でしたが、近年は幹部の多くが逮捕され衰退傾向にあります。
- ンドランゲタ:カラブリア州を拠点とする組織。現在のイタリアマフィアの中で最大勢力と言われています。
- カモッラ:ナポリを中心とするカンパニア州を拠点とする組織。
- サクラ・コローナ・ウニータ:プーリア州を拠点とする組織。
2023年1月には、コーザ・ノストラのボス、マッテオ・メッシーナ・デナーロが30年以上の逃亡の末に逮捕され、大きなニュースとなりました。
この事件は、イタリア政府によるマフィア対策の成果を示すものとして国際的に報じられました。
マフィアの活動形態の変化
現在のマフィア組織は、伝統的な恐喝や暴力的な手法から、より洗練されたビジネス志向の犯罪へと活動形態を変化させています。
2024年5月の報道によると、イタリアのマフィア組織、特にンドランゲタは「殺人や恐喝は時代遅れ」として、金融犯罪や税金詐欺などの知能犯罪に移行しています。
最新の公式データによれば、イタリアでマフィアに殺害された犠牲者数は、1991年の700人超から2022年には17人にまで減少しており、暴力的な犯罪は大幅に減っています。
代わりに、企業倒産を利用した脱税スキームや偽造請求書の作成など、より目立たない方法で巨額の利益を得ています。
特にコロナ禍以降、経済的に困窮する企業を買収したり、復興基金を狙った詐欺行為に手を染めるなど、マフィア組織は合法ビジネスを隠れ蓑にして活動していることが報告されています。
観光客への実際の影響
では、こうしたマフィアの存在は観光客にどのような影響を与えているのでしょうか。
実は多くの専門家や現地在住者によれば、一般的な観光ルートを旅行する観光客がマフィアと直接関わる可能性は極めて低いと言われています。
イタリア南部にマフィアが存在することは事実ですが、そのほとんどは観光客を直接のターゲットにはしていません。
彼らの活動は主に地下経済や金融犯罪、政治的腐敗などに集中しています。
シチリア在住者の証言によれば、「マフィアはマフィアですよ~なんて言いながら歩きません。必要もなければ得もしないからです。そのため観光客は言うまでもなく、普通に暮らしていてマフィアと関わることはありません」とのことです。
観光客が実際に注意すべきなのは、むしろマフィアより一般的な軽犯罪です。
特にスリや置き引き、ぼったくりといった犯罪は観光地で発生しやすく、これらは必ずしもマフィア組織とは関係がありません。
ナポリやパレルモなどの都市では、スリや窃盗が発生する可能性があるため、貴重品の管理には十分注意する必要があります。

地域別のマフィアの影響
マフィアの影響は地域によって異なります。
シチリア島では、コーザ・ノストラの影響力は過去に比べて弱まってきています。
特に1990年代以降、反マフィア運動が活発化し、多くのボスが逮捕されました。
現在も毎年反マフィアデモが行われるなど、市民の意識は高まっています。
パレルモなどの観光地では警察のパトロールも強化されており、観光客が安心して訪れることができます。
ナポリでは、カモッラの影響が残っていますが、観光客が日常的に危険にさらされるわけではありません。
ただし、ナポリには「カモッラや南イタリアの犯罪組織の支配下にある地区がある」という報告もあり、そのような地区には近づかないよう注意が必要です。
カラブリア州のンドランゲタは現在最も勢力のあるマフィア組織とされており、ヨーロッパのコカイン取引の大部分を掌握していると言われています。
しかし、彼らの活動も観光客よりも金融犯罪や企業活動に向けられています。
観光客としての注意点
イタリアを訪れる観光客がマフィアについて特別な対策を講じる必要はありませんが、一般的な安全対策は重要です:
- 人気のない場所や怪しいエリアには近づかない:特に夜間は人通りの多いメインストリートを利用しましょう。
- 貴重品の管理に注意:スリや置き引きに気をつけ、バッグは必ず体の前で持ちましょう。
- 現地の人の助言に従う:宿泊施設のスタッフなど現地の人に安全な地域について相談するのも良いでしょう。
- 緊急時の連絡先を把握:イタリアの警察は「112番」または「113番」、救急車は「118番」です。
イタリアのマフィアは確かに存在していますが、その活動形態は映画やメディアで描かれるものとは大きく異なっています。
現在彼らは主に金融犯罪や企業活動に関わっており、観光客が直接の被害に遭う可能性は非常に低いと言えます。
一般的な海外旅行での注意点を守れば、イタリアを安心して楽しむことができるでしょう。
また、マフィアの活動と並んで、地域の背景として見逃せないのが移民の増加です。
治安と社会構造の関係について詳しく知りたい方は、イタリアの移民割合と増加の背景とは?|最新データと出身国ランキングをチェックしてみてください。
イタリアの治安対策ガイド

- 治安に問題がある地域と都市
- 時間帯別の注意すべきポイント
- 公共交通機関利用時の注意点
- スリなど多発犯罪の対策
- 緊急時の対応と連絡先
- 旅行者の体験談
治安に問題がある地域と都市

イタリアは全体的に治安が良い国ですが、特に観光客が集中する地域では軽犯罪に注意が必要です。
日本の外務省が発表する海外安全情報によると、2025年4月現在、イタリアに対する特別な危険情報は出されていませんが、観光客が多い主要都市では特定の地域で注意が必要です。
以下、都市別に治安に問題がある地域を解説します。
主要都市における注意すべき地域
ローマ
イタリアの首都であるローマは全体的に治安は良好ですが、特定のエリアでは注意が必要です。
最も警戒すべきなのはテルミニ駅周辺で、特に夜間は危険度が増します。
また、エスクィリーノ地区(テルミニ駅東~南東からコロッセオまでのエリア)も治安が良くないことで知られています。
観光客が多く集まるコロッセオやトレビの泉周辺、スペイン広場周辺ではスリが多発しており、地下鉄内でも特にA線テルミニ駅-スパンニャ駅間、B線テルミニ駅-コロッセオ駅間で被害が多発しています。
ローマのホテルの治安|失敗しない!安全な滞在のための完全ガイドも併せてご覧ください。
宿泊先の選び方が旅の安全性を大きく左右します。
ミラノ
北イタリアの経済都市ミラノでは、中央駅周辺やドゥオーモ周辺でスリや置き引きの被害が多発しています。
特に地下鉄内では警戒が必要です。
また、夜間の公園は避けるべきとされています。
ミラノは日中であれば比較的安全ですが、ファッションの街であることから高価なブランド品を持っている観光客は特に注意が必要です。
ナポリ
南イタリアの主要都市ナポリは、他の主要都市と比べて軽犯罪の発生率が高いとされています。
特に注意が必要なのは中央駅前のガリバルディ広場、フォルチェッラ地区、駅を背にした右隣にあるバスト地区です。
これらの地域は夕方以降に人通りが少なくなると危険度が増します。
また、スペイン地区も治安が悪いことで知られていましたが、近年は観光スポットとして人気が高まり、警察の取り締まりも強化されて以前より改善されています。
フィレンツェ
フィレンツェは比較的治安が良い街として知られていますが、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅北側~北東にかけてのエリアは注意が必要です。
また、カッシーネ公園は昼間は家族連れで賑わう安全な場所ですが、朝方と日暮れ後には人通りがなくなり、麻薬の売買や傷害事件が発生しているため、訪問は昼間に限定すべきです。
ベネチア
運河の街ベネチアは全体的に治安が良好ですが、観光客が集中するリアルト橋やサンマルコ広場周辺ではスリの被害が報告されています。
また、ベネチア本島ではなく対岸のメストレ地区、特にメストレ駅周辺は夜間に注意が必要です。

イタリア主要都市の危険地域と注意ポイント
都市名 | 危険地域 | 特に注意すべき時間帯 | 主な犯罪タイプ |
---|---|---|---|
ローマ | テルミニ駅周辺 エスクィリーノ地区 コロッセオ周辺 トレビの泉周辺 地下鉄A・B線 | 夜間(特に21時以降) 混雑時間帯 | スリ、置き引き、 詐欺(ぼったくり) |
ミラノ | 中央駅周辺 ドゥオーモ周辺 公園(夜間) | 夜間(21時以降) 地下鉄混雑時 | スリ、置き引き |
ナポリ | 中央駅周辺 ガリバルディ広場 フォルチェッラ地区 バスト地区 | 夕方以降(17-18時~) 早朝 | スリ、ひったくり、 詐欺 |
フィレンツェ | サンタ・マリア・ノヴェッラ駅北東側 リベルタ広場 カッシーネ公園(朝夕) | 朝方、夕方以降 | スリ、ひったくり |
ベネチア | リアルト橋周辺 メストレ駅周辺 | 観光客混雑時間 夜間(メストレ) | スリ、置き引き |
地域による治安の違い
イタリアでは従来、南北の経済格差から南部の治安が悪いというイメージがありましたが、現在では治安面での南北の差はそれほど顕著ではなくなっています。
むしろ現在は、観光客が多い北部の都市でも軽犯罪が増加しているという傾向が見られます。
治安が良いとされるエリアとしては、北イタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州、特にボルツァーノやトレントが挙げられます。
これらの地域は清潔で秩序があり、観光客にも安全な環境を提供しています。
観光客が注意すべきポイント
イタリアで最も多発している犯罪は、観光客を狙ったスリや置き引きです。
特に在イタリア日本国大使館の報告によると、2023年第2四半期(4月〜6月)には日本人の被害報告が37件あり、前四半期の1.5倍に増加しています。
特に注意すべき場所と状況:
- 公共交通機関内:特に混雑した地下鉄やバス内ではスリのグループに取り囲まれる手口が多発しています。
- 駅周辺:主要駅の周辺は軽犯罪が多く発生するエリアとなっています。
- 観光スポット:有名観光地の周辺はスリや詐欺師が多く活動しています。
- レストラン:椅子の背もたれにかけたカバンが盗まれるケースが増加しています。
- 夜間の人通りの少ないエリア:特に21時以降は人通りの少ない場所を避けるべきです。
イタリアを訪れる際は、貴重品は分散して持ち歩く、リュックは前に抱える、レストランではカバンを椅子にかけずに膝の上に置くなどの基本的な対策を講じることが重要です。
また、緊急時には警察(112番または113番)、救急車(118番)に連絡し、被害に遭った場合は必ず警察に届け出ることをお忘れなく。
イタリアの多くの地域は観光客にとって安全ですが、上記のポイントに注意することで、より安心して素晴らしい旅行体験を楽しむことができるでしょう。
時間帯別の注意すべきポイント

イタリア旅行をより安全に楽しむためには、時間帯によって異なる治安状況を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
時間帯によって危険度が変わる場所や、特に注意すべき犯罪タイプがありますので、これらを把握しておくと安心して観光を楽しめます。
朝(5:00~8:00)
朝の時間帯は比較的安全ですが、人通りが少ない場所には注意が必要です。
特に主要駅周辺やカッシーネ公園(フィレンツェ)などは早朝の人通りが少ない時間帯には危険度が上がります。
この時間帯は観光客が少ないため、目立ちやすくなる点にも注意しましょう。
早朝に気をつけるべきポイント:
- 人通りの少ない駅周辺では警戒を強める
- 公園内の人気のない場所は避ける
- 朝のランニングなどは観光客が多いエリアで行う
日中(8:00~17:00)
日中は最も安全な時間帯ですが、観光客が集中する場所ではスリや置き引きが多発します。
コロッセオやトレビの泉周辺(ローマ)、ドゥオーモ周辺(ミラノ)、サンマルコ広場(ベネチア)などの人気観光スポットでは特に注意が必要です。
在イタリア日本国大使館の報告によると、特にローマの地下鉄A線テルミニ駅-スパンニャ駅間や、B線テルミニ駅-コロッセオ駅間で日本人観光客のスリ被害が多発しています。
また、レストランのテラス席での置き引き被害も日中に多く発生しています。
日中に気をつけるべきポイント:
- 混雑した公共交通機関ではバッグを前に抱える
- レストランでの食事中もバッグは椅子の背もたれにかけず、常に視界に入れておく
- 貴重品は分散して持ち歩く(ホテルのセーフティボックスも活用)
夕方(17:00~20:00)
夕方になると、特に冬季は早く暗くなるため注意が必要です。
ナポリのガリバルディ広場やフォルチェッラ地区などは、夕方5~6時頃になると急に人通りが少なくなり、危険度が増します。
この時間帯は、観光スポットから宿泊先へ戻る人が多く、スリやひったくりの被害に遭いやすくなります。
特に、スマートフォンを地図アプリで確認しながら歩いている観光客は注意が散漫になりやすく、ひったくりの標的になる可能性があります。
夕方に気をつけるべきポイント:
- 日没後は人通りの少ない道は避ける
- スマートフォンは路上で長時間使用しない
- 可能であれば複数人で行動する
- 地下鉄やバスの混雑時は特に警戒を強める
夜間(20:00~24:00)
夜間は日本と比較すると治安が悪化します。
特に駅周辺やテルミニ駅(ローマ)、中央駅(ミラノ・ナポリ)周辺は危険度が高くなります。
ローマのエスクィリーノ地区やエウル地区も夜9時を過ぎると人通りが少なくなり、危険度が増します。
フィレンツェやベネチアなど観光地として人気の都市では、メインストリートや繁華街は比較的安全ですが、脇道や人通りの少ない場所は避けるべきです。
夜間に気をつけるべきポイント:
- 人気のある大通りや賑わっているエリアにとどまる
- 公式タクシーや配車アプリを使用する
- 高価な貴重品の携行は避ける
- 夜間の公園は必ず避ける

深夜(24:00~5:00)
深夜の外出は極力避けるべきです。
イタリア在住者によると、夜11時以降の深夜の時間帯に出歩くのは、男女問わずおすすめできません。
ローマやナポリなどの大都市圏を中心に、強盗などの深刻な犯罪被害が報告されているからです。
やむを得ず深夜に外出する場合は、以下の点に注意しましょう:
- 必ず複数人で行動する
- 明るく人通りのある道を選ぶ
- 可能な限りタクシーを利用する
- 貴重品は最小限にする
イタリアの治安は総じて良好ですが、時間帯により危険度が変わります。
特に観光客が多く集まる場所では、時間帯を問わず貴重品の管理に注意を払うことが大切です。
また、夜間の行動は慎重に計画し、深夜の一人歩きは避けるようにしましょう。
これらの点に注意すれば、イタリアの素晴らしい文化や歴史、美食を安心して楽しむことができます。
公共交通機関利用時の注意点

イタリアを訪れる際、公共交通機関はとても便利ですが、同時に犯罪被害に遭いやすい場所でもあります。
特に観光客が集中する地下鉄やバス内では、スリや置き引きが頻発しています。
在イタリア日本国大使館の報告によると、公共交通機関内でのスリ被害は日本人観光客が最も被害に遭いやすい犯罪の一つとなっています。
安全に公共交通機関を利用するには、以下の点に注意することが大切です。
地下鉄利用時の注意点
地下鉄は特に注意が必要な公共交通機関です。
ローマでは地下鉄A線のテルミニ駅からスパンニャ駅間と、B線のテルミニ駅からコロッセオ駅間で被害が多発しています。
これらの区間は観光客が多く利用するため、スリのグループがターゲットにしやすい区間です。
在イタリア日本国大使館が2023年に発表した報告によると、「ローマ市地下鉄内で外国人数人にぐいぐいと体を押しつけるように取り囲まれ、電車を降りた際にリュックが開けられていることに気づき、中に入れていた貴重品入れが盗まれていた」という被害が複数報告されています。
地下鉄内での被害を防ぐためのポイント:
- 乗車時は車両の入口付近ではなく、中央部分に移動する
- 混雑した車内ではリュックは前に抱える
- 降車駅に気を取られて周囲への注意が散漫にならないよう気をつける
- 乗車時に車両の四隅にいる人物に目を向け、不審者をチェックする
- 可能であれば座席に座り、所持品を常に視界に入れておく
ミラノの地下鉄も同様に注意が必要です。
特にドゥオーモ駅周辺やミラノ中央駅付近では警戒を強めましょう。
なお、フィレンツェには地下鉄がないため、主にバスやトラムでの移動となります。
バス・トラム利用時の注意点
バスやトラムも地下鉄と同様に、スリの被害が発生しています。
特にローマのテルミニ駅周辺や観光名所へ向かうバス路線では注意が必要です。
ナポリのバス内では、「それほど混んでいないのにポケットに手を入れられた」という被害例も報告されています。
バス・トラム利用時に注意すべきこと:
- 乗車前にチケットを購入しておく(車内で財布を出さない)
- 荷物は常に体の前で持つ
- 混雑時は特に警戒を強める
- 車内でスマートフォンを長時間使用しない
- 降車口付近に立つときは特に注意する

ベネチアの水上バス(ヴァポレット)利用時の注意点
ベネチアを訪れる際には、水上バス(ヴァポレット)を利用する機会が多いでしょう。
特に観光客が多い10時~16時頃までの時間帯は船内でのスリ被害が増加します。
乗り込むときは荷物から目を離さず、美しい景色や写真撮影に気を取られないよう注意しましょう。
タクシー利用時の注意点
イタリアでは非公認のタクシーによるぼったくり被害も報告されています。
特にローマでは「支払い時に50ユーロ札を出したのに、10ユーロしかもらっていないと言われた」という詐欺的なケースも発生しています。
また、ナポリではナイトスポットへ出かける際のタクシーでのトラブルも多いとされています。
タクシー利用時の注意点:
- 必ず公式タクシー(白いタクシー)を利用する
- 事前に料金の目安を確認しておく
- 支払い時はドライバーの目の前で金額を確認し、お釣りもその場で確認する
- 可能であれば配車アプリを使用する
都市別・公共交通機関リスク評価
都市 | 交通機関 | 危険度 | 特に注意すべき路線/区間 |
---|---|---|---|
ローマ | 地下鉄 | 高 | A線:テルミニ駅~スパンニャ駅 B線:テルミニ駅~コロッセオ駅 |
ローマ | バス | 中~高 | テルミニ駅周辺、観光地行き路線 |
ミラノ | 地下鉄 | 中~高 | 中央駅周辺、ドゥオーモ駅周辺 |
ナポリ | バス・地下鉄 | 高 | 中央駅周辺、ガリバルディ広場行き |
フィレンツェ | バス・トラム | 中 | サンタマリアノヴェッラ駅周辺 |
ベネチア | ヴァポレット | 中 | 観光客混雑時間帯(10:00-16:00) |
公共交通機関を利用する際は、必要以上の現金や貴重品を持ち歩かないことも重要です。
パスポートのコピーを持ち歩き、原本はホテルのセーフティボックスに保管するのが安全です。
また、SIMカードにPINコードを設定しておくと、万が一スマートフォンが盗まれた場合でも悪用を防げます。
イタリアの公共交通機関は基本的に安全ですが、観光客が多い区間では特に注意が必要です。
これらの対策を講じることで、安心して旅行を楽しむことができるでしょう。
スリなど多発犯罪の対策

イタリアを旅行する際、最も注意すべき犯罪はスリや置き引きといった軽犯罪です。
在イタリア日本国大使館の報告によれば、2023年4月から6月の間だけでも37件の日本人被害報告があり、その大半がスリや置き引きによるものでした。
しかし、適切な対策を講じることで、これらの犯罪から自身を守ることができます。
イタリアで多発する犯罪の手口
まず犯罪被害を防ぐには、よくある手口を知ることが第一歩です。
スリの代表的な手口:
- 混雑した電車やバス内で体を押し付けて気を散らせる間に盗む
- 子供や女性など複数人で取り囲み、注意を引きつけている間に荷物から貴重品を抜き取る
- 液体をかけて「拭いてあげる」と親切にする振りをして荷物に手を付ける
- 地図を尋ねるなど質問をして注意を引きつけている間に共犯者が盗む
置き引きの主な発生場所:
- レストランやカフェでの食事中に椅子の背もたれにかけたバッグ
- ホテルのチェックイン中にフロントに置いた荷物
- 観光スポットで写真を撮る間に脇に置いた荷物
ひったくりの特徴:
ナポリなどではバイクに乗った2人組による街頭でのひったくりが報告されています。
特にスマートフォンを見ながら歩いている観光客が被害に遭いやすいため注意が必要です。
貴重品の管理と持ち歩き方
スリや置き引きから身を守るためには、貴重品の適切な管理が不可欠です。
貴重品の分散管理:
- パスポート、現金、クレジットカードは別々に保管する
- ホテルのセーフティボックスを積極的に活用する
- 外出時は必要最小限の現金とカード1枚程度を持ち歩く
安全な持ち歩き方:
- 前掛け式のセキュリティポーチを服の下に装着する
- ファスナー付きの内ポケットがあるバッグを選ぶ
- リュックサックは前に抱えるか、混雑した場所では使用しない
- ショルダーバッグは体の前で持ち、常に手を添える
服装と行動に関する注意点
身なりや行動も犯罪被害の可能性に影響します。
服装のポイント:
- 高価な時計やアクセサリーは目立たないものにする
- 観光客と一目でわかるような派手な服装は避ける
- 内ポケット付きの服を活用する
安全な行動:
- 人混みでは常に荷物を視界に入れておく
- レストランではバッグを膝の上や足元に置く
- 公共交通機関では乗降時に特に注意を払う
- 地図や案内を見る際は建物に背を向けるなど周囲に注意する

最新テクノロジーを活用した対策
現代のセキュリティ技術を活用することも効果的です。
- スマートフォンのGPS追跡機能を事前に設定しておく
- 重要書類やパスポートのコピーをクラウドに保存しておく
- SIMカードのPINコードを設定し、盗難時の不正利用を防止する
- 旅行保険に加入し、盗難補償が含まれていることを確認する
犯罪被害に遭った場合の対処法
万が一被害に遭った場合の対応も知っておきましょう。
まず行うべきこと:
- 落ち着いて周囲の状況を確認する
- 警察に連絡する(緊急時は112番または113番)
- クレジットカードやスマートフォンが盗まれた場合は直ちに利用停止の手続きをする
パスポートが盗まれた場合:
- 最寄りの警察署で盗難届(Denuncia)を提出する
- 在イタリア日本国大使館(ローマ:06-487991)または在ミラノ日本国総領事館(02-6241141)に連絡する
- 帰国のための渡航書発給手続きを行う(1〜2営業日を要する)
地域別・犯罪リスクと推奨対策
都市 | 多発犯罪 | 特に注意すべき場所 | 推奨対策 |
---|---|---|---|
ローマ | スリ、置き引き | テルミニ駅、コロッセオ周辺、地下鉄A・B線 | ・地下鉄では入口付近には立たない ・観光地ではバッグを常に前に持つ |
ミラノ | スリ、置き引き | 中央駅周辺、ドゥオーモ周辺 | ・ブランド品の露出を避ける ・複数のポケットに分散して貴重品を保管 |
ナポリ | ひったくり、スリ | 中央駅周辺、ガリバルディ広場 | ・スマートフォン使用は建物の中か安全な場所で ・ショルダーバッグは道路と反対側に |
フィレンツェ | 置き引き | サンタ・マリア・ノヴェッラ駅北側 | ・カフェでの貴重品を常に視界に入れる ・テーブルの上にスマートフォンを置かない |
ベネチア | スリ | リアルト橋、サンマルコ広場周辺 | ・混雑したヴァポレット内では特に警戒 ・水路側を歩く際はバッグを内側に持つ |
イタリアの軽犯罪は巧妙かつプロフェッショナルです。
「自分は大丈夫」という油断が最も危険であることを忘れないでください。
常に周囲に注意を払い、上記の対策を徹底することで、素晴らしいイタリア旅行を安全に楽しむことができます。
また、現地の最新情報を得るために、旅行前に外務省の海外安全ホームページを確認することも重要です。
緊急時の対応と連絡先

イタリア旅行中に犯罪被害、事故、怪我、病気など緊急事態に直面した場合、適切な対応と連絡先を知っておくことが重要です。
迅速かつ冷静な対応ができるよう、以下の情報を旅行前に確認し、現地では常に手元に置いておくことをおすすめします。
緊急電話番号
イタリアでは、EU共通の緊急通報番号「112」が導入されており、警察・消防・救急の全てに対応しています。
ただし、地域によっては以下の個別番号も併用されていますので、両方覚えておくと便利です。
サービス | 電話番号 |
---|---|
緊急通報(統一番号) | 112 |
警察(Polizia) | 113 |
消防(Vigili del Fuoco) | 115 |
救急医療(Emergenza Sanitaria) | 118 |
これらの番号は市外局番なしで、携帯電話からでも固定電話からでも無料で利用できます。
通話時は落ち着いて、可能であれば以下の情報を伝えましょう:
- 自分の名前と国籍
- 何が起きたのか(事故、盗難、病気など)
- 現在地(できるだけ具体的に)
- 連絡用の電話番号
なお、緊急電話対応はイタリア語が基本となりますが、主要都市では英語対応可能なオペレーターもいます。
日本語での対応は期待できないため、簡単な英語やイタリア語のフレーズを覚えておくと良いでしょう。
在イタリア日本国大使館・総領事館
犯罪被害に遭った場合や、パスポートを紛失・盗難された場合は、現地の警察に届け出るとともに、できるだけ早く在イタリア日本国大使館または在ミラノ日本国総領事館に連絡しましょう。
在イタリア日本国大使館(ローマ)
- 住所:Via Quintino Sella, 60, 00187 Roma, Italia。
- 電話:+39-06-487991。
- 管轄:イタリア全土、サンマリノ、マルタ。
在ミラノ日本国総領事館
- 電話:+39-02-6241141。
- 管轄:北イタリア地域
大使館・総領事館の開館時間は平日の9:00~12:30、13:30~16:30が一般的です。
開館時間外に緊急事態が発生した場合は、大使館・総領事館の電話番号に連絡すると、緊急連絡先に転送されます。
犯罪被害に遭った場合の対応
イタリアでは特にスリや置き引きなどの軽犯罪が多発しています。
被害に遭った場合は以下の手順で対応しましょう。
- 冷静に行動する:パニックにならず、周囲の状況を確認します。
- 警察に通報する:最寄りの警察署(Polizia)または憲兵隊(Carabinieri)に行き、盗難届(Denuncia)を提出します。この盗難届は保険請求や帰国のための渡航書発給に必要となります。
- クレジットカードの利用停止:盗まれた場合は直ちに利用停止の手続きをします。日本のカード会社緊急連絡先を事前にメモしておきましょう。
- 大使館・総領事館に連絡:特にパスポートが盗まれた場合は、盗難届を持って大使館または総領事館で帰国のための渡航書発給手続きを行います。手続きには最低1~2営業日かかりますので、帰国予定がある場合は注意が必要です。
在イタリア日本国大使館の報告によると、2023年4〜6月の日本人被害報告は37件(前期比約1.5倍)にのぼり、特に公共交通機関利用中のスリやレストランでの置き引き被害が急増しています。

医療緊急時の対応
病気やケガで緊急医療が必要な場合:
- 緊急の場合:118番(または112番)に電話して救急車を呼びます。イタリアでは真に緊急で重篤な場合、公立病院の救急室(Pronto Soccorso)で診察が受けられます。
- 軽症の場合:主要都市では24時間体制の緊急受付を行うプライベートクリニックもあり、電話で相談の上、予約外で診察を受けられる場合もあります。
救急車で搬送される場合、搬送先を指定することはできず、最寄りの救急病院(Pronto Soccorso)に搬送されます。
また医療機関では一般的にイタリア語でのコミュニケーションが必要となりますが、大きな都市の病院では英語が通じることもあります。
事前準備と予防措置
緊急時に慌てないために、以下の事前準備をおすすめします。
- 海外旅行保険への加入:医療費や盗難被害の補償が含まれるものを選びましょう。
- 重要書類のコピー:パスポート、航空券、保険証などの写しを別に保管し、デジタルコピーもクラウドなどに保存しておきましょう。
- 常備薬の携行:持病のある方は必要な薬を十分に携行し、処方箋の写しも持参しましょう。
- 家族や知人への連絡手段:旅程表を家族に渡しておき、定期的に連絡を取る習慣をつけましょう。
外務省への登録
海外に3か月以上滞在する予定がある場合は「在留届」を、3か月未満の旅行の場合は「たびレジ」への登録をおすすめします。
これにより、現地で大規模災害や政情不安などが発生した際、日本大使館から安全情報を受け取ることができます。
外務省海外旅行登録「たびレジ」:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/
緊急時に対応できるよう、これらの情報を旅行前に印刷して持参したり、スマートフォンに保存しておくと安心です。
また旅行中も常に周囲の状況に気を配り、危険と思われる状況や場所は避けるよう心がけましょう。
万が一の事態に備えることで、素晴らしいイタリア旅行を安全に楽しむことができます。
旅行者の体験談

イタリアを訪れる際の安全対策を考える上で、実際の旅行者の体験談は貴重な情報源となります。
ここでは、旅行フォーラムや在イタリア日本国大使館の報告に基づく実際の体験談をもとに、危険を回避するためのポイントをご紹介します。
公共交通機関での体験
あるフォーラム投稿者は2019年に2週間のローマ一人旅で、初日に地下鉄内でスリ被害に遭った経験を共有しています。
「Gパンの前ポケットに入れておいた財布が無くなったことに気づいた時にはユーロだけ抜かれた財布が足元に落ちてスリは降車していました。
車両の入口四隅にはプロのスリが待ち構えていると思って注意した方が良いです」と報告しています。
この体験者は、「不慣れだと降車駅を間違えないようにと気を取られて周りへの注意が散漫になります。
乗車時に四隅の人に目線を向けておくと抑止効果があると思います」とアドバイスしています。
また別の体験者は、「ローマ市地下鉄内で外国人数人にぐいぐいと体を押しつけるように取り囲まれ、電車を降りた際にリュックが開けられていることに気づき、中に入れていた貴重品入れが盗まれていた」と報告しています。
レストランでの置き引き体験
在イタリア日本国大使館の2023年4月~6月の報告によると、「レストランのテラス席で食事をした際に、隣の席に置いていたトートバッグがいつのまにか無くなっていた」
「レストランで食事中、椅子の背もたれにかけていたカバンがいつのまにか無くなっていた」といった置き引き被害が複数報告されています。
これらの体験から、レストランでの食事中も常に荷物を視界に入れておくことの重要性が分かります。
あるフォーラム参加者は「食事するときやカフェでスマホをテーブルの上に置きっぱなしにしない。カバンはいつも膝の上」という対策を徹底していたと述べています。
街中での被害と対処
ナポリを訪れた旅行者は、「ナポリ中央駅からツアー集合場所までGoogleマップを見ながら歩いている時に、後方から近づいてきた若者にiPhoneをひったくられ走って逃げられました。
ストラップは付いていたんですが引きちぎられました」と報告しています。
この体験者は幸い予備のスマートフォンを持っていたため旅行を続けることができましたが、「盗られた日の夜には携帯を停止する処置をしていたのですが、短時間でも抜け目なく悪用するプロ集団がナポリには居ると思いました」と注意を促しています。
もう一つの特徴的な手口として、「ローマ市内のバスターミナルにおいてバスを待っていた際に、近くにいた人からなんらかの液体をかけられ、それを拭くためにバッグからティッシュを出して拭いていたところ、バッグがいつのまにか無くなっていた」という巧妙な犯行も報告されています。

安全対策が功を奏した体験
フォーラム投稿者の一人は、初めてのイタリア旅行でも特に問題なく過ごせた理由として、以下の対策を挙げています:
- 地下鉄は入口付近には乗らずに、中に入る。席があいていれば座る
- 財布には紐/コードをつけて、カバンに結びつける
- お金、カードは分散し、一部を服の内側のポーチに入れる
- スマホには首からストラップコードをつけ、見るときはしっかり握る
- 変な声掛け、物売りは全て無視する
- 夜道を歩くときは大股、早足、人がいる道を選ぶ。
この旅行者は「これらは旅行の基本的なことですが、意外と日本人はできてないことが多い自己防衛策です」と述べています。
教訓と対策
これらの実体験から得られる重要な教訓は、「自分は大丈夫」という油断が最も危険であるということです。
実際に被害に遭った方々の多くが、犯行の瞬間に気づかなかったと報告しています。
スマートフォンのSIMカードにPINコードを設定することも重要です。
上記の体験者は「SIMカードを抜かれて他のスマホから国際電話をたくさん掛けられてしまった」ため、「しばらくして携帯通話料金十数万円の請求」を受けたと報告しています。
これらの体験談は、イタリア旅行を楽しむためには常に警戒を怠らないことの重要性を示しています。
適切な対策を講じれば、多くの犯罪被害を防ぐことができるでしょう。
素晴らしい文化や美食を安心して楽しむためにも、これらの実体験から学んだ教訓を活かしていきましょう。
イタリアの治安の最新傾向と旅行者が知っておくべきポイント総まとめ
- イタリアは世界平和度指数で中位に位置し、全体としては治安が良好とされる
- 凶悪犯罪の発生率は低く、観光客が巻き込まれる可能性は極めて少ない
- 最も多い犯罪はスリや置き引きなどの軽犯罪で、観光地周辺で多発している
- ローマやミラノ、ナポリの駅周辺は特に注意が必要なエリアとされている
- 北部と南部で治安に大きな差はなく、むしろ観光客が多い北部都市の犯罪率が高め
- 治安の良い都市としてボルツァーノやヴェネツィア、トスカーナ州が挙げられる
- ナポリやローマの一部地区では夜間の外出を控えることが推奨されている
- 地下鉄やバスなどの公共交通機関内はスリの標的になりやすいため要警戒
- マフィアの存在は地域的には残るが、観光客が関与する可能性はほとんどない
- 軽犯罪は観光客の油断や荷物の管理不足に乗じて発生するケースが多い
- 夜間の人通りの少ない場所では犯罪リスクが上がるためルート選びが重要
- イタリア政府は主要観光地でのパトロールを強化し治安維持に努めている
- 日本と比べると警察の対応や検挙率に課題があり、自己防衛が鍵となる
- レストランやカフェでの荷物放置による置き引き被害も頻繁に報告されている
- 基本的な対策を講じることで、安全にイタリア旅行を楽しむことは十分可能